肥厚性瘢痕とケロイドの違い
肥厚性瘢痕は、外傷・やけど・炎症・手術創などが赤くみみず腫れのように盛り上がっている傷のことをいいます。
ケロイドは、この赤く盛り上がった傷が元の傷跡の大きさを超えて広がっている状態ですが、肥厚性瘢痕との識別は難しいです。
肥厚性瘢痕とケロイドを明確に区別することは難しいですが、主な原因や治療法に大きな違いはありません。
原因は、感染・異物・物理的刺激・傷の深さ・張力・発生部位などの局所的なものと、体質・性別・年齢・ホルモンなどの全身的なものがあるといわれています。
ケロイドの場合は、これらに加えてアレルギー疾患をもつ人に多い傾向です。
また、自覚症状として痛み・かゆみ・ひきつりなどが挙げられます。
見た目や治療法に大きな違いはありませんが、肥厚性瘢痕とケロイドでは自然に治るかどうかが大きな違いです。
肥厚性瘢痕は、傷跡が隆起したものでこの範囲内に病変がとどまり正常な皮膚までは侵食しません。
そのため、放置をしても1〜5年程度で治る場合があります。
一方でケロイドは自然治癒しません。
放置するとケロイドがどんどん大きくなっていき、関節などでひきつりを起こすこともあります。
ここまで症状が進むと日常生活へ支障をきたす可能性があるため、古傷や手術の跡が赤く盛り上がってきたら肥厚性瘢痕の場合もケロイドの場合も、早めにクリニックを受診してください。
肥厚性瘢痕やケロイドの治し方を紹介
肥厚性瘢痕とケロイドも治し方は同じで、主な治療法は次の通りです。
・飲み薬
・注射
・塗り薬
・貼り薬
飲み薬ではトラニラストという抗アレルギー薬が保険適用となっています。
主に痛み・かゆみの症状を緩和させることが目的ですが、飲み薬だけで肥厚性瘢痕やケロイドを治すことは困難です。
そこで、注射・塗り薬・貼り薬が併用されます。
塗り薬・貼り薬は、ステロイド剤をそれぞれの方法で患部につけます。
ステロイド剤は抗炎症作用があるため、これらの治療は赤み・かゆみなどの症状の緩和が目的です。
多く用いられるのがステロイド剤含有の貼り薬で、24時間ごろ入浴のタイミングで貼り替えて治療を進めます。
症状が改善してきたら、服用の時間を短くしたり感覚を空けたりします。
そして、貼り薬で症状が良くなれば塗り薬への移行も可能です。
しかし、これらの薬だけでは改善が見られないことが多く、その場合はステロイド剤を患部へ直接注入する注射での治療を行います。
肥厚性瘢痕やケロイド治療では注射による治療が一般的で基本です。
注射は他の治療と比べて確実で即効性が期待できるので、おすすめでもありますよ。
肥厚性瘢痕やケロイドは注射での治療がおすすめ
肥厚性瘢痕やケロイドの治療は、ステロイド剤を注射することが基本でありおすすめです。
塗り薬や貼り薬は自身で塗布するため手軽な方法ですが、単独では治療が完了しなかったり長い期間がかかったりする難点があります。
対して注射は、直接患部に注射するため、即効性があり確実な治療が可能です。
注射治療では、基本的に3〜4週間に1回の目安で治療を受け、肥厚性瘢痕の場合1〜2回でかゆみ・痛みなどが軽減し患部が平坦化してきます。
傷口を超えて周囲へ拡大しているケロイドの場合は複数回の注射が必要になりますが、貼り薬や塗り薬よりも圧倒的に治療期間が短いです。
しかし治療の経過には個人差があり、1〜2回で効果が認められる場合もあれば、複数回受けてもなかなか良くならない場合もあります。
そのため、医師の指示に従って通院し、治療を続けましょう。
しかし、注射治療では注射時に強い痛みがあるデメリットもあります。
患部が硬くなった状態だと痛みは強くなるため、痛みが苦手な方は事前に医師に申し出ましょう。
局所麻酔などを併用してくれる場合もありますよ。
また、女性はステロイドの影響で生理不順が生じる場合もあります。
そのため、これらのデメリットについて専門的な知識・技術をもった信頼できる医師の治療を受けることが大切ですよ。
まとめ
肥厚性瘢痕もケロイドも、患部に直接ステロイド剤を注射して治療することがおすすめです。注射時の痛みが伴いますが、ステロイド剤の抗炎症作用がしっかりと患部に働きかけるため塗り薬や貼り薬と違って、即効性が期待できます。当院でも肥厚性瘢痕治療としてケロイド注射を取り扱っているので、傷跡の盛り上がり・赤み・腫れなどの気になる症状があれば一度受診してみてください。